今回はオーディオイヤホンデバイスメーカーとして人気を集めているKZ(Knowledge Zenith)が販売する、優れたバランスで幅広い用途で対応する「KZ ZAS」を紹介します。
- 高い解像感で豊かな音情報
- 優れた音のバランスで幅広く活躍
- 音の方向が分かりやすくFPSゲームにも最適
- 人間工学に基づいた快適なフィット感
- 8,000円台で高いコストパフォーマンス
目次
「KZ」とは?
2008年に中国で元オーディオテクニカのエンジニアであるキース・ユー氏とクラシック音楽家のゼン・リー氏らによって設立されたオーディオイヤホンデバイスメーカー KZ。KZの名は「Knowledge Zenith」の略であり、創設者のイニシャルであるKとZにちなんで名付けられました。今日のKZは、低価格帯の中華イヤホンブランドとして位置づけられます。オーディオへの革命的な追及と強い信念に基づき、高いコストパフォーマンスで、世界中の国や地域から注目を集めています。
「KZ ZAS」の特徴
ドライバー | 10mm ダイナミック型 | 付け方 | カナル型 |
ユニット重量(左右) | 12g | 接続方式 | 有線(3.5mm) |
筐体 | ABS樹脂 | ケーブル長 | 1.18m前後 |
外見 | カナル型
「KZ ZAS」はカナル型のイヤホンとなっており、装着の際はケーブルを耳に掛けます。
本体は耳の穴全体にフィットする、人間工学に基づいた形状でしっかりと耳にフィットすることで、長時間装着していれも疲れません。
スケルトンをベースに、表面には内側がホワイトにロゴ、外側がシルバーで覆われているメタルフレームが、メカニカルのデザインが特徴です。
ユニットの重量は片方で約6gとなります。接続はリケーブル可能な2ピンコネクタです。
ドライバー | ダイナミック型
「KZ ZAS」は小口径10mmφのダイナミック型ドライバーユニット、7つのアーマチュアユニットを搭載しています。
これらにより、バランスの取れた力強い音を表現でき、高い解像感で繊細な音を響かせます。
ケーブル
「KZ ZAS」には、銀メッキケーブルが付属しています。
銀メッキケーブルは非常に柔軟です。また、耳がかかる部分には保護カバーがあるため、耳にケーブルの違和感を感じにくくなっています。
ケーブルの長さは約118cm前後で、重さは約20gとなります。
このケーブルは低音に若干のぼやけがあり、低音域が中音域を邪魔しているためか、中音域が少し物足りなく感じます。使用用途によっては低音域の質感が気になるため、ユーザーの好みに応じてケーブルを交換しての使用をオススメします。初めての方は、最初は付属ケーブルで使用し、徐々に音の楽しみを感じ足りなくなった際に、リケーブルすることで新たな音を楽しめます。
イヤーピース | シリコン製
「KZ ZAS」には、大、中、小の3サイズのシリコン製イヤーピースが付属しています。
このイヤーピースに関しては、非常に柔らかい装着感や音の抜け方に好みはあるものの、好むユーザーが少ないくらいように感じる程です。こちらは別の物への交換を推奨します。
finalなどの別メーカーのイヤーピースと変更することがオススメです。
マイク付きコントローラ | 幅広い機能
「KZ ZAS」は、右ケーブルにマイク付きコントローラを搭載しています。
音楽の再生、停止、巻き戻し、早送り、着信時の通話応答、音量調整など、幅広い機能に対応しており、スマートフォンなどの使用では、ゲームシーンを快適にしてくれます。
1年保証|安心のアフターサポート
「KZ ZAS」をAmazonの公式ショップから購入した場合、1年間の保証があります。初期不良や万が一の製品トラブルでも、保証の規定範囲内であれば適切なサポートを受けることができます。製品の当たり外れを心配する必要は一切ありません。
実際、私が受け取った製品にも初期不良の疑いがありましたが、お問い合わせ後、国外メーカーとは思えないスムーズな対応で、満足のいくサポートを受けることができました。
購入後のカスタマーサポートも充実しており、メーカーやブランドとしては非常に好印象です。
高いコストパフォーマンス
「KZ ZAS」は、現在8,000円台でAmazonで販売されています。2023年末頃までは6,000円台後半でしたが、物価の影響と人気が集まり始めた需要もあり、価格が改定され始めています。
しかし、8,000円台でも尚コストパフォーマンスの高さは健在であり、現在は以前よりも多くのユーザーが購入し、価格以上の満足感と驚きを提供しています。
ワイヤレス化対応|追加アタッチメント
「KZ ZAS」は、リケーブル可能な2ピン接続であり、同じくKZから販売されている「AZ09シリーズ」を使用することで、ワイヤレスイヤホンとして使用できます。
有線ケーブルでの接続だけでなく、ワイヤレス化も可能なのが、リケーブル可能なイヤホンの大きなメリットです。また、KZ以外のメーカーからも販売されており、さまざまな製品から選ぶことができます。
実際に「KZ ZAS」を使用して
付け心地
「KZ ZAS」の付け心地は、耳の穴を軸に全体でしっかりとフィットします。フィット感は交換したイヤーピースにも寄りますが、そのフィット感ゆえに、外出先や楽器演奏など様々なシチュエーションで使用するユーザーがいるのも納得できます
ユニットの重さも平均的なこともあり、長時間の使用では重たくて疲れるなど、付けることによるストレスは感じにくいです。
FPSゲーム
「KZ ZAS」をFPSゲーム(CS2, VALORANT, Overwatch2など)のように、音の情報が重要なゲームで使用したところ、非常に快適に使用できました。
上下左右の空間全体の詳細な音を捉えることができ、敵の微細な動きや位置を把握しやすくなります。これにより、有利な交戦状況を作り出すことが可能です。
FPSゲームで使用する際は、低音域を弱める中音から高音域を気持ち少し上げることで、重要な敵の足音などが、より聞き取りやすいFPSゲームに最適化された音を伝えてくれます。また、シャープな音で伝わるため、判別がしやすく音そのもとを楽しむことができます。
低音域を弱めない場合、銃声音が響き渡り繊細な足音が目立ちにくくなってしまうため、低音域を弱めることをオススメします。
ボイスチャット
「KZ ZAS」をDiscordなどのボイスチャットで使用した場合、快適に使用できました。
人との会話であれば、音域などは気にならず、耳にストレスを感じにくく会話することができます。一方で、耳に密着しており遮音性が高いため、自分の声量を正確に把握しにくく、会話中に声が大きくなることがあります。
音楽
「KZ ZAS」を音楽視聴で使用した場合、低音が若干強く感じるものの音のバランスが優れており、快適に使用することができます。特に高い解像感で中音域から高音域のボーカルの緩やかな伸びを堪能できます。また、音の鋭さも感じることができ、誰もが聞いていて音を楽しめる、そんなイヤホンの印象が強く残りました。
重低音をベースとした音楽では、迫力はあるものの深い低音の入りから抜けまでの締まりがなく、若干ぼやけたように聞こえます。この問題に関しては付属しているケーブルではなく、別のバランスケーブルなどに交換することで、ぼやけ等の低音の厚みは改善されます。
低音が好きなユーザーも好きになれるイヤホンであり、好みの音を見つけ出すイコライザー調整によって様々な音の楽しみ方ができます。
このユニット自体のポテンシャルは非常に高く、どの音楽でもそこそこの音を出してくれる、幅広いジャンルの扱いやすさに関しては、価格も相まってずば抜けていると感じます。
映画等
「KZ ZAS」を映画視聴等で使用した場合、快適に使用できました。
幅広い音域をカバーしてくれるイヤホンであるため、場面の切り替わりが激しいアクション映画などでは、シチュエーションに応じた音の強弱や緩急を楽しむことができます。
アニメ視聴でもクリアな音声で、声優さんの表現の細かい拘りまで感じることができ、ユーザーによっては今までとは違った楽しみをできるかもしれません。
マイクの音質
「KZ ZAS」のマイクの音質は必要最低限の性能であり、特別良い音質ではなく基本的な通話用途には十分です。
イヤホンに搭載されているマイクは非常に小さく、性能としても制限があります。そのため、3,000円程で搭載されているイヤホンのマイクの音質と大きな違いを感じません。
収録や動画制作などのゲーム実況など、より音を重視するプロフェッショナルな用途には適していません。
耳掛けによる眼鏡との相性
「KZ ZAS」を含めた耳掛けタイプのイヤホンで使用する上での懸念点は、眼鏡など既に耳に掛かっている物との相性です。
「KZ ZAS」に付属されている銀メッキケーブルは、耳掛け部分には程よい硬さの保護カバーがあり、眼鏡の相性は特に問題なく、快適に使用することができます。そもそものユニットが耳に非常にフィットしやすく、ケーブルは耳や眼鏡のフレームの上部分で乗せる程度でも十分快適に使用できます。
「KZ ZAS」と「final VR3000 for Gaming」| 徹底比較
「KZ ZAS」の同価格帯のゲーミングイヤホンとして、「final VR3000 for Gaming」と購入を迷うユーザーが多いのではないでしょうか。私自身も気になり比較のために使用していたため、「KZ ZAS」と「Final VR3000 for Gaming」のより詳細な違いをお伝えします。
性能と音質
KZ ZAS | final VR3000 for Gaming | |
ドライバー | 10mm ダイナミック型 | 6mm ダイナミック型 |
付け方 | カナル型 | カナル型 |
ケーブル交換 | 対応 | 不可 |
価格 | ¥8,800 | ¥8,980 |
全体的な性能において、大きな違いは形状、カスタマイズ性、音の性質の違いにあります。
「KZ ZAS」は、低音域がやや強いと感じるものの、高い解像感で幅広い音域をカバーするバランスの取れた音が特徴です。また、リケーブル可能でケーブル交換で音の変化や好みの音域を強調させる調整も可能です。
「Final VR3000 for Gaming」は、ゲーム向けに開発されたこともあり、低音域を抑えたFPSゲームに最適な音で、解像感が低く全体的な音に鋭さがないのが特徴です。
音の解像感に関しては、対照的に感じるほど「KZ ZAS」は高く「Final VR3000 for Gaming」は低いです。
サイズ感については、「KZ ZAS」に比べて「Final VR3000 for Gaming」は薄く、耳からユニットが飛び出さないため、装着時はスッキリとした印象を与えます。
どっちを選ぶ?
「KZ ZAS」は音楽用途の中でも、オールラウンドでどのジャンルでも高い解像感で快適に聴けるようなイヤホンです。そのため低音域もしっかりと聞こえるため、FPSゲームで使用する場合はイコライザー調整で低音域を弱め、中音から高音域を気持ち程度に少し高めることで、足跡などが聞こえやすい最適な音を伝えてくれます。
「Final VR3000 for Gaming」はイコライザーを使わなくても、FPSゲームに最適化された設計です。しかし、「KZ ZAS」に比べると音のぼやけがやや目立ち、ゲームのプレイ中に鋭さやメリハリ感が物足りなく感じ、音に飽きやすい印象を受けます。
音による空間認識性能は、どちらも同程度の物ですが、「KZ ZAS」の方が高い解像感のためか、より多くの詳細な音を届けてくれます。
「KZ ZAS」は、FPSゲームで使用する際には、イコライザーで低音域を弱める調整が必要ですが、よりクリアな音を届けてくれます。また、幅広い用途に優れているため、イコライザーの調整が可能なユーザーには、こちらを強くオススメします。そのような点も踏まえ「KZ ZAS」のコストパフォーマンスが良く感じます。
それに従い「Final VR3000 for Gaming」は、イコライザーの調整を考えずプラグインで直ぐに使いたいユーザーにオススメです。
「KZ ZAS」の良い点と改善点
良い点
- 高い解像感で情報量が多いシャープな音を届ける
- 幅広い用途で十分な音で活躍
- 空間表現にも強く、FPSゲームでも活躍
- 耳にフィットしやすい形状
- 価格以上の性能がある
「KZ ZAS」は、拘ったチューニングにより高い解像感と、優れたバランスの取れた音で様々な用途をカバーしてくれるようなイヤホンです。
また、高い解像感により空間表現にも強いため、FPSゲームでは重要な敵の足跡などの方向が非常に分かりやすく、一人称のストーリーゲームでは世界観に没入しやすいです。また、音楽視聴ではイコライザー調整で1つの音楽だけでも様々な楽しむことができ、新たな発見を楽しめます。
幅広い用途をカバーし、価格以上の満足感を提供する繊細な音を出してくれる、8,000円台で購入できるコストパフォーマンスに優れたイヤホンです。購入を迷っている方には強くオススメします。
改善点
- イヤーピースが薄く、柔らかい
「KZ ZAS」のイヤーピースは薄いためか非常に柔らかく、フィット感が損なわれ、音の抜けが悪く感じます。イヤーピースは交換必須とも言えます。
純正ケーブルに関しては、低音域に若干のぼやけがあるためか中音域に弱さを感じます。低音域が必要ない場合、低音域を弱くし中音域を気持ち上げる調整を施すことで改善されます。また、音楽視聴において音にこだわりがある方は、お好みのケーブルに交換することで新たな楽しみを見つけられます。
まとめ
「KZ ZAS」は、ダイナミック型ドライバーユニットと7つのアーマチュアユニットを搭載することで、高い解像感で全体的にバランスの取れた音域を表現します。また、音による空間表現にも優れていることで、FPSゲームでは敵の足音が分かりやすく、音楽視聴ではライブ会場のような臨場感のある音を楽しめます。ユニット自体のポテンシャルが非常に高く、イコライザー調整次第でさまざまな用途で満足できるパフォーマンスを発揮します。
音楽や映画視聴はもちろん、FPSゲームなど幅広い用途で活躍してくれる、コストパフォーマンスに優れたイヤホン「KZ ZAS」、興味のある方は是非一度使用してみてください。
この記事が少しでも参考になりましたら幸いです。
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