ゲーミングキーボードは、ここ数年で機能と操作性が大きく向上し、勝敗を分ける程さらに重要視されるデバイスになりました。今回は、X(旧 : Twitter)上で多くのゲーマーの注目を集め話題となった、ラピッドトリガー機能を搭載したゲーミングキーボード、「ELECOM GAMING VK600A」を紹介します。
- 磁気式スイッチでラピッドトリガー機能を搭載
- ゲームに特化したキー配列と機能
- ユーザーそれぞれに合わせた調整が可能
- 滑りにくいキーキャップなど細部まで拘った仕上がり
- 完成度は高いが、不具合があり惜しい
目次
ELECOM GAMINGとは?
ELECOM GAMINGとは、人々の日常を支える国内デバイス企業、Elecomのゲーミングデバイスのブランドです。現在はゲーミングデバイスにも力を入れ、X(旧 : Twitter)上ではユーザーと積極的に交流することで、ユーザー求めるデバイスにヒントを見つけ出しています。その結果、数年前とは別物と言える程違う、ゲーマーの拘りが詰まった製品を販売しています。最近ではアームカバーや遊び心あるヘッドセットなど様々な観点から注目され、多くのユーザーが期待し応援している国内のデバイスメーカーです。
「ELECOM VK600A」の特徴
スイッチ | 磁気式 | サイズ | 65% |
アクチュエーションポイント | 0.1~3.8mm | 配列 | 日本語 |
動作圧 | 30~60g | キーキャップ | PBT樹脂 |
同封物 | 充実した付属品
- ELECOM GAMING VK600A
- ケーブル : USB Type-C to USB Type-A
- 交換用キーキャップ
- キーキャッププラー
- シール
サイズ | 65%サイズ
「ELECOM GAMING VK600A」は、日本語配列の65%サイズです。
通常の65%サイズのゲーミングキーボードと比較すると、上部のインジケーターの余白や右サイドのマルチキーが、65%サイズ特有のコンパクトさを損なっていると感じます
以前紹介した65%サイズのゲーミングキーボード、「Higround Performance Base 65」と比較すると、「ELECOM GAMING VK600A」はコンパクトとは少し言い難いです。
また、「ELECOM GAMING VK600A」配列は、英語配列と日本語配列を混ぜたような独自の配列となるため、E/J(半角全角)や英語配列特有の長いスペースバーなど、一部キーの配列に慣れるのに時間がかかってしまいます。そのような点を含めると、普段使いで使用するよりもゲームに特化した、ゲーミングキーボードと言えます。
磁気式スイッチ | 変更可能なアクチュエーションポイント
「ELECOM GAMING VK600A」は、磁気式スイッチを搭載しています。
磁気式スイッチの最大の特徴は、アクチュエーションポイント(接点)を変更できることです。
ソフトウェア上で0.1~3.8mmまで、0.1mm単位で好みの数値をキーごとに設定できます。簡単に言うと、キーの反応の敏感さを調整できるということです
また、動作圧は30~60gとなり、軽すぎない平均的な押し心地です。
Rapid Trigger | 反応速度
「ELECOM GAMING VK600A」は、ラピッドトリガーを搭載しています。
このラピッドトリガー機能は、キャラクターを停止させる際に、指をキーから離して無活動状態にするのに最適です。
通常のスイッチは、キーを離して一定のラインに到達することでキーがリセットされ、無活動状態になり、再入力可能となります。
磁気式スイッチは、他にはないラピッドトリガー機能を持っています。まず、キーを離すとすぐにリセットされ、無活動状態になります。この状態で再入力が可能で、再度指定した数値までキーを押し込むと、入力が完了します。
「VALORANT」や「Counter-Strike 2」など、キャラクターの動きを止めて射撃するようなゲームタイトルに向いています。
PBTキーキャップ | 考え抜かれた設計
「ELECOM GAMING VK600A」は、PBT樹脂を使用したキーキャップを搭載しています。
PBT樹脂は、耐摩耗性や機械的性質に優れた高い耐久性が特徴です。また、表面にはザラツキがあり、キーキャップの上部には出っ張りがあるため、自然と指がキーキャップに吸い付くような設計になっています。ゲームで使用する際には、滑りにくく、しっかりとキーの重心を捉えることができます。
内部設計 | 打鍵感と静音への拘り
「ELECOM GAMING VK600A」は、内部設計に拘り、優れた打鍵感を提供しながら静音性にも拘っています。
ケースの内部には、2枚のシリコン吸音パッドを搭載することで、スイッチを強く押した際に鳴り響く不快な金属音を抑え込み、心地よいキーの音を表現し、微細な振動を抑え込んでくれます。
価格 | 優れたコストパフォーマンス
「ELECOM GAMING VK600A」は、高性能でありながら手に取りやすい、優れたコストパフォーマンスも魅力の1つです。ラピッドトリガー機能を搭載したゲーミングキーボードは、ケース、内部設計、ソフトウェアの有無など詳細な部分で価格が大きく変化します。
「ELECOM GAMING VK600A」は、販売価格22,980円で詳細な部分にまで拘った、高性能なゲーミングキーボードを実現しました。性能や品質から、最低でも24,980円以上の価値はあると確信しています。
ゴム足 | ズレを抑える
「ELECOM GAMING VK600A」は、底面の両端4ヵ所にゴム製の滑り止めを使用しています。スタンドにもゴム足が付いています。
キーを押している最中にズレてしまう心配はありませんが、激しい操作でキーボードに接触した際や、スペースキーに指が引っかかてしまった場合にはズレの懸念があります。
接続方式 | Type-C接続でUSBポート付き
「ELECOM GAMING VK600A」は、Type-C接続を採用しています。
付属するUSB Type-C to USB Type-Aケーブルは、柔らかいパラコードケーブルとなっています。
接続箇所は正面左側(画像右側)で、ゲーミングキーボードを斜め上にするスタイルでは、ケーブルが自然と左上に流れるため、非常に快適に使用できます。
また、右側(画像左側)には追加USBポートが搭載さています。ゲーミングマウスのUSBレシーバーなど、遅延の懸念があるデバイスの接続にはあまりオススメはできません。USBメモリーのちょっとしたデータ転送に向いています。
2年保証 | 万が一でも安心
「ELECOM GAMING VK600A」には、公式サイトやAmazonなどのエレコムダイレクトショップから購入することで、手厚い2年間の保証サービスを受けることができます。開封直後の初期不良はもちろん、万が一の故障でも保証対象内の内容であれば、適切な保証対応を受けることができます。
また、製品の小さな問題や使用方法に関する疑問点についても、お問い合わせページから簡単に問い合わせ可能です。
「ELECOM GAMING VK600A」の使用前には、品質による故障や操作方法に不安があるかもしれませんが、しっかりとしたアフターサービスが完備されているため、ユーザーは安心して使用することができます。
外見・デザイン
化粧箱
「ELECOM GAMING VK600A」の化粧箱は、メカメカしさと遊び心をも感じる、非常に凝ったデザインになっています。
外見
正面
「ELECOM GAMING VK600A」のホワイトカラーの正面は、シンプルで引き締まったデザインで良い意味でゲーミングキーボードらしさを感じさせません。
ケースにはポツポツとした砂のようなザラツキがあり、温かみや高級感を感じさせます。
左上には半角やゲームモードのインジケーターがあります。
横
裏面
「ELECOM GAMING VK600A」の裏面は、スタンド、両端に4つのゴム足、シリアルナンバーなどが記載されています。
キーキャップ
「ELECOM GAMING VK600A」のキーキャップは、厚さ約1mmで、上部に引っ掛けがあるなど、拘りの詰まったデザインです。
「ELECOM VK600A」の設定方法
「ELECOM GAMING VK600A」の詳細設定は、専用ソフトドライバー「ELECOM GAMING TOOL(EG Tool)」で行えます。
アクチュエーションの設定方法
「ELECOM GAMING VK600A」のアクチュエーションポイントを設定するには、「キーのON感度」と「キーのOFF感度」から設定します。例えば、キーを0.6mm沈み込んだ際に入力し、そこから0.4mm離した際に無動作状態にするには、「キーのON感度」を0.6mmに、「キーのOFF感度」を0.4mmにします。
アクチュエーションポイントは0.1mmから3.8mmまで、0.1mm単位で設定することができます。0.1mmといった数値を極端に小さく設定した場合、キーに添えたり少し触れただけで反応してしまうため、誤操作が気になるユーザーには「誤動作防止」を有効にすることが推奨されています。
ただ、個人的には「誤動作防止」を有効にするくらいであれば、数値を0.3mmに以上に上げるほうが好ましいと感じます。キーが物理的に上下に動く以上、キーのグラツキをゼロにするのはほぼ不可能です。これは品質の問題ではなく、ユーザーの環境(湿度やデスク)や使用状況(キーの押し方)など様々な要因で左右されます。
0.1mmに設定した場合、意図しない誤操作が発生するなどの声がありますが、上記のような要因が考えられるため、そのようなユーザーは「誤動作防止」を有効にすることを「ELECOM GAMING」のX(旧 : Twitter)では推奨されていました。
キー別設定
「ELECOM GAMING VK600A」のそれぞれのキーに個別の設定をするには、希望するキーを選択するといくつかの項目が表示されます。「詳細設定」は最大20キーまで、「キー個別設定」で「キーのON感度」と「キーのOFF感度」の他に、「2ndアクション有効」で深く押し込んだ際のキー設定まで、1つのキーに対し最大6つまでのアクションを設定できます。
誤操作が多発してしまうスペースバーなどのキーは、「キーのON感度」の数値をを上げることで、ユーザーがより扱いやすいゲーミングキーボードに仕上げることができます。
ゲーミングモード時の設定
「ELECOM GAMING VK600A」の「ゲーミングモード」では様々な設定が行えます。
「ゲーミングモード」とは、ゲームのプレイ中にあってはならない、特定のキー操作を前もって無効化することができます。
一般的には「Windowsキーを無効化」、「Shift+Tabを無効化」、「Alt+Tabを無効化」、「E/J(半角全角)を無効化」などが、ゲーミングモードの機能としてオススメです。
ゲーミングモードの有効と無効は、お好みのキーに設定することで気軽に切り替えできます。
ライティングの設定
「ELECOM GAMING VK600A」の照明効果は「ライティング」から設定できます。プリセットとして様々な照明効果があり、詳細なカラーまで設定できます。
プロファイルの追加
「ELECOM GAMING VK600A」には、いくつかの操作設定を保持する「プロファイルの追加」が可能です。
「+」を選択することで、プロファイルが追加され、プロファイル名を変更して保存することができます。
これにより、ゲームや使用用途別でキー感度などの詳細な設定を保持し、簡単に切り替えることが可能です。プロファイルの切り替えには数秒時間が掛かり、稀に入力の不具合が発生します。(改善されました)
実際に使用して
磁気式スイッチの性能
「ELECOM GAMING VK600A」の最大の魅力は、磁気式スイッチを使用したラピッドトリガー機能です。
私は主に逆キー入力をしていますので、指をキーから離すスタイルに比べて、その大きさは大限感じにくいです。しかし、通常のCHERRY MX製の赤軸や銀軸に比べ、キーを押す感覚で微調整が簡単に行え、キーの反応速度に驚かされました。この磁気式スイッチの反応速度は他にはなく、実感して貰う方が良いと思います。
他社の磁気式スイッチと比較しても、性能には大きな不満を感じません。
打鍵感
「ELECOM GAMING VK600A」の打鍵感は柔らかく、瞬発的に押した際には跳ね返りが感じられ、非常に心地が良いです。
動作圧が30~60gのため、初動は軽い力で深く押す際には重さを感じられます。そのため、触れただけで反応してしまう感度の高さに悩みを抱えているユーザーは、感度を低くすることでユーザー好みに幅広く調整することができます。
キースイッチの拘った内部構造やボックス仕様のため、キーのぐらつきは非常に抑えられていると感じます。
打鍵音
「ELECOM GAMING VK600A」の打鍵音は、スコスコとした音に近い心地よい高い音で、音の大きさは一般的なゲーミングキーボードと比較すると多少抑えられているものの、静音性は不十分に感じます。
特にキーキャップがフレームと触れた際には、大きな接触音が鳴り響きます。そのため、ユーザーによってはこの接触音が不快に感じることも理解できます。スペースバーは特に大きな鈍い音がします。これはこのゲーミングキーボードに限らず、多くのキーボードで見られる構造上の問題です。
以前紹介した「Higround Performance Base 65」は、打鍵音が多くのユーザーから高い評価を得ており、比較するとその差は歴然です。比較動画から「ELECOM GAMING VK600A」の大きな打鍵音が目立ちますが、ゲーミングキーボードとしては平均よりも小さいように感じます。
生活や仕事上でどうしても静音性を重視せざるえないユーザーは、内部構造やキーキャップを見直しカスタマイズをするか、購入を見送るかのどちらかになると思います。
一方で、この打鍵音はゲーミングキーボード特有の活気ある雰囲気を提供し、一部のユーザーには魅力的に感じます。
ソフトウェアの動作性
「ELECOM GAMING VK600A」のソフトウェア「EG Tool」に関しては、シンプルなUIの直感的な操作で初めてのユーザーでも簡単に設定できます。
動作は良好ながらも、「ELECOM GAMING VK600A」の認識やプロファイルの切り替えに時間がかかるため、頻繁にプロファイルを変更するユーザーにとっては、これが手間に感じることもあり得ます。
また、PCの動作中PCと「ELECOM GAMING VK600A」を再接続する際やPCのスリープ状態からの復帰では、PCとの接続時に動作不良やソフトウェアの不具合が発生しますが、アップデートによる改善でより快適な使用体験が期待できます。
「ELECOM GAMING VK600A」と「Wooting 60HE」を比較して
性能
Wooting 60HE | ELECOM GAMING VK600A | |
サイズ | 60% | 65% |
アクチュエーションポイント | 0.1~4.0mm | 0.1~3.8mm |
動作圧 | 40~60cN | 30~60g |
価格 | ¥25,900 | ¥22,980 |
スペック表での性能は非常に似ています。
どちらも磁気式スイッチを採用したラピッドトリガー機能を搭載している、高品質なゲーミングキーボードとなります。性能だけでみれば同等になるため、性能の差だけを見て優越を付けるのは非常に困難です。
「Wooting 60HE」は、本体価格25,900円に加え送料として約3,300円、合計約29,200円になります。
買うならどっち?
どちらも優劣を付けにくい、非常に優れたゲーミングキーボードです。使用方法やキー配列、ブランドとしての好みなど、より詳細な部分がユーザーの選ぶ決め手になります。
「ELECOM GAMING VK600A」は、キーの配列やEnterキーのサイズはもちろん、全角/半角の切り替えなど、日本語のタイピングでの活用を考えているユーザーが適しています。また、「ELECOM GAMING VK600A」は、国内メーカー「ELECOM」の製品であるため、国内メーカーを応援したい気持ちが強いユーザーにもオススメです。
一方で「Wooting 60HE」は、英語配列で幅広いカスタマイズ性が特徴的です。キースイッチだけではなく、ケースまで幅広い製品が使用でき、ユーザーの好みやイメージに合わせたオリジナルの「Wooting 60HE」を制作できます。また、VALORANTの世界大会「VALORANT Champions Tour」で多くのプロ選手が使用しており、「プロ選手が使用していたゲーミングキーボードと同じ」としての選び方もできます。
良い点と改善点
良い点
- 爽快な打鍵感
- 日本語配列
- キーキャップが滑りにくい
- シンプルでありながら高級感あるデザイン
- 多くの望みと拘りが詰まっている
「ELECOM GAMING VK600A」の最大の特徴は、磁気式スイッチを搭載した日本語配列のハイスペックなゲーミングキーボードであることです。
磁気式スイッチは、0.1mm単位で幅広いアクチュエーションポイントに設定でき、初めて磁気式スイッチが搭載したゲーミングキーボードに触れる方でも、ソフトウェア上で簡単に設定することができます。また、シンプルなUIで直感的な操作が可能となっており、操作方法を見なくても操作できる程です。
キーキャップは滑りにくい工夫がされ、ケースもシンプルでありながら高級感を感じる仕上がり、そして接続場所にも気を使った、ゲーマーが使いやすいと感じる多くの拘りが詰まっています。
ユーザーが求めていたような性能と機能を搭載し、コストパフォーマンスにも考慮された、ユーザーに寄り添ったゲーミングキーボードになっています。
キー配列になれた私にとって、今後も使用し続けたいと思える程満足の行くゲーミングキーボードです。
改善点
- 65%を活かしたコンパクト
- スリープ状態からの復帰に弱い
- ちょっとした不具合(ソフトウェアとの接続) (改善されました)
「ELECOM GAMING VK600A」は、65%のゲーミングキーボードですが、上部にはインジケーターのための余白があり、もう少しコンパクトにできる余地があります。そのため、より65%の特徴を活かしたコンパクトさになると、なおよいと感じました。
また、PCのスリープ状態からの復帰には非常に弱く、無反応状態になるなど、PCとの接続の際に接続や動作不良、ソフトウェアの不具合などがあります。これらの不具合は、アップデートで改善されることで、より快適で完成されたソフトウェアになることが期待できます。
まとめ
「ELECOM GAMING VK600A」は、現在のトレンドである、ラピッドトリガー機能を搭載した、高性能なゲーミングキーボードです。特にユーザーの要望を聞き入れた設計と機能で、詳細な部分にも拘っています。専用ソフトは初めてのユーザーにも分かりやすく、直感的な操作が可能で、説明を見る必要がないほどです。また、キーキャップは完成されていると言える程、素晴らしい質感と機能が備わっているため、ゲームではユーザーの操作性を向上させ、より高いパフォーマンスを発揮できる期待があります。幅広いユーザーをターゲットにしている分、キーの配列や打鍵音、コンパクト性など拘るユーザーにとってやや不満点はあるかもしれません。
ユーザーの声を聞き詳細な部分や価格まで拘って完成した、ラピッドトリガー機能搭載の高品質なゲーミングキーボード「ELECOM GAMING VK600A」に興味がある方は、ぜひ一度使用してみてください。
この記事が少しでも参考になりましたら幸いです。
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